健康の定義とは
健康、健康って、よく聞く言葉だけど、
どんな状態だと健康って言えるのでしょう?
健康に対する西洋と東洋の違い
かつて西洋と東洋では健康に対する意識が大きく異なっていました。
西洋では体内の臓器や生理的なメカニズムをできるだけ客観的に把握して未熟な体を強く鍛えて発達させる。
そうやって《完全な状態》目指していたんですね。
健康を英語ではヘルス(health)といいますが、これはヒール(heal)の名詞で、ヒールには「完全な状態にする」という意味があります。
一方の東洋では、本来備わっている
「元氣(もともと持っている氣=生体エネルギー)」
をいかにいたわり、長持ちさせるか?
が健康につながると考えていました。
完璧な体を重要視した西洋とは異なり、
重視したのは《精神と人格》だったのです。
そのために日本では《養生》が重視されました。
養生とは、「良き人格を保ち、元氣を保つ」という意味です。
『養生訓』(ようじょうくん)は、正徳2年(1712年)に福岡藩の儒学者、貝原益軒によって書 かれた、健康指南書。
『腹八分目』はきっと皆さんも聞いたことがあるんじゃないでしょうか。
この健康法を提唱したのは貝原益軒なんですよ~(^∀^)
まあ、そんな健康法は本質ではなく、枝葉末節ににしか過ぎません。
貝原益軒は書物の中で
「今持っている元氣を無駄に消費しないように倹約し、良き人格を目指せ」
と説いています。
つまり、彼は『心と人格をどう整えるか』に主眼を置いています。
西洋式の健康の概念を持ち込んだのは、江戸末期に活躍した蘭学者・緒方洪庵で、彼は日本近代医学の祖と言われており、大阪に適塾という私塾をひらき、多くの人材を育成しました。
でも、しばらくは西洋式の健康という概念は日本では広がりませんでした。
緒方洪庵の適塾に福沢諭吉が入門していた時期があり、解剖学の勉強もしていたそうですが、福沢諭吉が26歳の時に出した著作は『増訂華英通語』という英和辞典でした。
そこでは「ヘルス」には健康ではなく《精神》を訳語としてあてています。
福沢諭吉は、精神面を重視する東洋的な価値観だけではなく、身体面を重視する西洋的な価値観を知っていたはず。
でも、彼が精神という訳語を選択したのは、当時の日本人にとって
「健康=精神的なもの」だったからでしょう。
WHO の定義で健康の概念が変わった
健康の概念について、戦後大きな転機が訪れます。
1948年、WHO(世界保健機関)憲章の前文で、健康の定義をしました。
身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない。
原文:Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
冒頭でもちょいと述べましたが、
「健康ってそもそも何?」
と言う質問をされたとき、
「健康=病気がない」と解釈する方が多いのではないでしょうか?
WHO は「単に病気がないだけでなく」と否定した上に、西洋の健康観と東洋の養生観を巧みにまとめていますね。
そして、
「心も健康に大切だよ」
と言われればイメージがなんとなでも
思い浮かぶかも知れませんが、
《社会的に良好な状態》
とはどんな状態を指すでしょうか?
言い換えると、
《なんらかのコミュニティに所属して「つながり」を持っている状態》
です。
実際、治療院でストレスを抱えている患者さんの多くは、
- 無趣味
- 会社と自宅の往復生活
- 誰にも悩みを相談できない
- あまり会話をしない
・・・という感じで、孤立している傾向にあります。
つながりや心から打ち解けられる所属コミュニティがあることは、WHOが定義している健康を作るための大切な要素なんですね。
4つ目の健康
WHOが定めた健康の定義は
- 身体的健康
- 精神的健康
- 社会的健康
の3つですが、実は廃案になった《4つ目の健康》があります。
健康とは身体的・精神的・霊的・社会的に完全に良好な動的状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない。
原文:Health is a dynamic state of complete physical, mental, spiritual and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
これが世界保健機関は1999年の総会で健康の改定案でした。
没になったのは、宗教的な背景の兼ね合いで、まとめることができなかったんですね。
霊的な健康って何?
《霊的な健康》を別の言葉に置き換えると、
- 魂の成長
- 人格の向上
- 人間的な器の拡大
- 人生のステージを上げる
このあたりだと解釈しています。
《養生=良き人格を保ち、元氣を保つ》と書きましたが、霊的健康(*ひとまず人格向上と解釈)まで含めることが東洋的な健康観である、といえます。
というわけで、
- 生活の質を高めたい
- 人生の質を高めたい
- 自分のやりたいことを思い切り楽しみたい
- 心身のエネルギーを高めて誰かに貢献したい
- 自分の才能を活かして社会のお役に立ちたい
そんな方はぜひ《真の健康》を目指すのをオススメしますよ。
私もそこを目指しますし、そこを目指す方や、そこに居る方のようなエネルギーが高いヒトを応援していきます(^∀^)