安定期に入ってからも、まだまだ安心はできません妊娠後期に起きるトラブルとして、切迫早産があります。
前半、切迫早産とはなんなのかについて紹介します。
後半は灸治療を受けることで切迫早産のリスクが下がるという論文について紹介します。
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切迫早産とは
切迫早産とは「妊娠22週以降37週未満に下腹痛(10分に1回以上の陣痛)、性器出血、破水などの症状に加えて、外測陣痛計で規則的な子宮収縮があり、内診では、子宮口開大、子宮頸管の展退などが認められ、早産の危険性が高いと考えられる状態」で「早産」が差し迫っている、という状態
(日本産科婦人科学会編・産科婦人科用語集・用語解説集より)
切迫早産の症状
切迫早産を簡単に言うと 出産予定日までまだ日にちはあるけれど早くも「出産時の症状」が現れるというもの。
切迫早産の代表的症状は以下の6つです。
規則的な子宮収縮(お腹が張る)
規則的に子宮が収縮することを一般的に「お腹が張る」と言います。妊娠期間中にお腹が張ることは珍しくありません。
すぐに治まるお腹の張りは問題ありまませんでが、規則的にお腹が張り続け、10分間隔より短くなると陣痛へと変わる可能性が高いです。
性器出血
出産前に出血することを一般的に「おしるし」と言いますが、出産時期ではないのにそれと似た症状が出ると「切迫早産」と判断されます。
子宮収縮のの刺激で出血することがあります。
子宮口が開く
お腹の張りが強くても子宮口は閉じている人もいれば、お腹が張りが無くても子宮口が開いている人もいます。
破水
破水すると羊水に雑菌が侵入しやすく、基本的には数日以内に出産となります。
破水はすでに体が出産の体勢に入っている状態です。
子宮頸管が短くなる
陣痛のように子宮が収縮すると、子宮頸管が徐々に短くなります。
そうなることで子宮を支える力が弱くなり早産へとつながります。
下腹部痛
下腹部に痛みがあれば、子宮の収縮が原因である可能性もあるため、要注意。
切迫早産スコア
上記のうち最初の4症状をスコア化して切迫早産の重症度を以下のように定めています。
0点 | 1点 | 2点 | 3点 | 4点 | |
子宮収縮 | 無し | 不規則 | 規則的 | ||
子宮口開大度 | 無し | 1㎝ | 2㎝ | 3㎝ | 4㎝以上 |
性器出血 | 無し | 少量 | 多量 | ||
破水 | 無し | 高位破水 | 低位破水 |
(参考;新女性体系他)
それぞれのスコアを合計して、点数が高ければ高いほど早産の危険が高くなります。一般的に、3点以上は入院治療の対象、5点以上になると長期的に早産を避けるのは難しい状態だとされます。
切迫早産の西洋医学的治療法
切迫早産の治療法の基本は「安静」です。症状に応じてカルシウム拮抗剤や硫酸マグネシウムなどが処方される場合もあるようですが、これといった良い治療方法があるわけではないため、 切迫早産の管理の中で最も大切なのは子宮の収縮の予防です。
鍼灸で切迫早産のリスクが下がる
2001年2月1日に開催された全日本鍼灸学会での発表テーマがが婦人科領域と鍼灸でした。
発表では、鍼灸により子宮動脈や臍帯動脈の血流量がアップすること、月経困難症、冷え性、逆子の治療に有効であったことなどが紹介されています。
なかでもp.55-p.63に掲載された明治鍼灸大学臨床鍼灸教室の矢部忠先生と笹岡知子先生発表『女性と鍼灸ー産科領域の鍼灸ー(主に骨盤糸位と早産予防について)』において、鍼灸で切迫早産のリスクが下がったことが報告しました。
対象者
切迫早産と診断された16名
方法
- 湧泉、三陰交…カマヤ灸、千年灸
- 至陰…棒灸
- マイクロ波灸(マイクロ波の熱効果による現代的な灸)により1カ所の経血に5〜6回刺激を入れた
灸療法により得られた結果
- 異常な子宮収縮が抑制された
- 腹部の張った感じが軽減した
- 腹部や全身の温感が生じた
- 子宮動脈および臍帯動脈の血管抵抗値が減じ、血流量が増加した
これら結果は骨盤位(逆子)の治療をおこなったときと同様の結果であったそうです。
また、釜付 弘志らの『切迫早産患者に対する灸療法の有用性について』日本東洋医学雑誌 Vol. 45 (1994-1995) No. 4 P 849-858においても同じ3つのツボに灸やマイクロ波をおこない、同様の結果を得ており、薬物療法に灸療法を併用することで、薬物の使用量を減らすことができた結果、副作用の発現頻度を抑えることができたことを報告しています。
お灸が効果的であったということは、足を温めることが効果的だとも言えます。
妊娠中は和食を中心に食べましょう
カルシウム拮抗剤や硫酸マグネシウムを処方することで切迫流産に効果的であるのならば、カルシウム過剰・マグネシウム不足という栄養状態を改善したいわけですね。
たとえば、牛乳やヨーグルトを食べることが健康だと思い込んでいる方もいますが、カルシウム過剰・マグネシウム不足になりミネラルバランスの崩れると足がつりやすくなります。
山田豊文先生が著書『決め手は油! 頭がよくなる脳内デトックス』の中で「大切なのは量の多さなのではなく、体内のどこにどれだけカルシウムがあるか」と述べていますが、このカルシウムが細胞内のどこにあるかを操作するのがマグネシウムの役割。
マグネシウムを積極的にとるように意識すると良いでしょう。
食べ物では大豆や海藻類にマグネシウムが豊富なので、ワカメ入り味噌汁をはじめとして、和食はマグネシウムが豊富な料理。
妊娠中は和食中心で過ごすことがオススメです。
筋肉の痙攣が足に起きれば「足がつる」のですが、足が攣ってしまうの原因を改善せずに放っておくと、やがて子宮の収縮に至るかもしれません。
妊娠中に鍼灸を受けても安全です
陳という人の1980年の報告では、妊婦300例に対し、流産目的で鍼灸するも効果がなかったことが報告されているので、鍼灸をすることで母体や胎児に悪影響を及ぼす恐れはありません。
わたし、ごく普通に治療院で妊婦さんを診てますかね!
安産のために鍼灸を受けていただきたい☆
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